抄録
日本人若年女性を対象として,下腿の4 部位と足の12 部位からなる,合計16 部位における温度感受性について検討した.対象部位における冷覚閾値は,温覚閾値よりも有意に小さく(p<0.001),温かさよりも冷たさに対して鋭敏であった.対象の16 部位において,温覚閾値には明確な部位差は認められなかったものの,冷覚閾値には部位差が認められた(p<
0.001).特に,足底の足幅外側における冷覚閾値は,他部位のそれらよりも大きく(他部位との有意差 p<0.05 - 0.001),冷たさに対する感受性の鈍い部位であった.次いで,足底の踵と足底の足幅内側における冷覚閾値も,他部位のそれらよりも大きい値を示し(他部位との有意差 足底の踵:p<0.05 - 0.01,足底の足幅内側:p< 0.05),冷たさに対する感受性の鈍い傾向を示す部位であった.一方,対象部位において冷たさを知覚しやすい部位は,有意性は認められなかったものの,足底と足背における内側縦足弓と外側縦足弓(土踏まず周径上の足底内側と外側,足背内側と外側)であった.