加湿がなされていても冬期にオフィスが低湿度となる例が多く報告されている.各事例に対して加湿量を明らかにし,低湿度への対策を考える必要がある.本研究では,あるオフィスにおける外気と室内の温湿度の測定値を基に,換気量,人体による水分発生量,室内の多孔質材による吸放湿量を与え,室の水分収支式を用いて空調機による加湿量を推定した.また,測定された外調機給気絶対湿度を用いて推定値の妥当性を確認した.次に,各パラメータの推定値に対する感度を比較し,人数および換気量は加湿量の推定値に比較的大きく影響すること,室内の多孔質材料による吸放湿量は加湿の立ち上げ時点でわずかに影響することを示した.