本研究は、日傘生地の色および加工の違いが暑熱緩和効果に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。測定は2021年7月21日から23日に、名古屋市に所在する大同大学のテニスコート、芝生、コンクリート面において実施した。傘(銀)、日傘(白)、日傘(銀)、日傘(白+ネット)の4種の傘下および比較のため日向の熱環境を測定した。その結果、以下の知見を得た。白色日傘は日射遮蔽効果が最も大きく、生地温度の上昇による下向きの熱放射量の増加が最も小さいことが示された。傘下のMRTは、傘生地の放射特性(日射遮蔽率、下向き長波長放射増加率)および地表面の放射特性(アルベド、日射吸収率)が影響する。テニスコートにおいて、UTCI低減効果が最も大きかったのは日傘(白+ネット)の-3.6℃であり、次いで日傘(白)の-3.0℃、日傘(銀)の-2.6℃、傘(銀)の-1.4℃であった。この結果から、傘の表面が銀色より白色の方が暑熱緩和効果が大きいことが示された。