近年,人体にかかる熱負荷による熱中症等が問題となっている.人体における熱負荷の影響は外的要因だけでなく,体調や運動状態といった内的要因も深く関わる.人体の暑熱期における季節順化の状態を調べるため,季節順化前後で暑熱環境下による立位安静状態での被験者実験を行った.被験者は人工気候室で暑熱環境下に曝露させた. 暑熱期に深部温度および代謝量の低下,発汗量の増加が一部で見られたが有意な差はなく代謝量と直腸温度の相関は低く明らかな傾向は見られなかった.気象データより本年度の暑熱順化は6月から7月に形成され,8月中旬には一時的に解消されたことが示唆された.