抄録
本研究では、ホスピタリティ・ツーリズム産業におけるフロントラインスタッフによる人的サービスの価値を、デジタルとの棲み分けの観点から検討することを目的としている。対面コミュニケーションによるサービスへのデジタルの代替が加速する中で、日本の強みである人的な顧客接点のサービスの位置づけを、先行研究のレビュー、及び、旅館の定型業務と非定型業務の比較をもとに検討した。その結果、二つの可能性が示された。一つ目は、デジタルにはないパーソナライズされたサービスの品質が差別化を生むこと、二つ目は、デジタルと人的サービスは相互に利点を活かしつつ、統合が進むことである。最後に、今後の研究の方向性と課題を示す。