森林資源の好ましい循環や地球温暖化防止のためには木材・木製品の利用促進が重要な課題である。一方,木材・木製品の利用促進のためには利用者への理解が不可欠であるが,どのような利用者がどのような木製品を利用したいと考えているかを調べた研究は少ない。そこで,本研究では,木材の好き嫌いおよび4種類の木製品(建築材料,家具,食器,アクセサリー・小物)の利用意向を目的変数,利用者の年齢,性別,意識・価値観,子どもの頃の居住地を説明変数として重回帰分析を行い,利用者の特性や意識・価値観と木製品利用意向との関係を調べた。分析の結果,全ての目的変数に対して,意識・価値観が有意な正の標準偏回帰係数(β)を示しており,自然派の価値観を持つ人は木材を選好し,木製品を利用したいと考える傾向にあることが分かった。また,木製品の種類によっては,意識・価値観以外の個人特性も利用意向と関連があることが明らかになった。