抄録
11月から3月にかけて愛知県内のオフィスビルにおいて温熱環境計測と申告調査を行った。冬期にも窓開放が見られたが、外気温が低下するとCO₂濃度が1000ppmを超える場所もあった。外気温が10℃未満になると室温は暖房によって 21℃以上に維持されていたが、22.5~26.5℃の範囲でわずかに暑さや寒さを訴える不快側申告が見られた。寒暑感や湿度感には男女間で異なる傾向が見られ、女性は寒さや乾燥のような季節的な環境変化に対して申告の変化幅が大きい傾向を示した。男女ともに着衣量の調整によって室温変化や個人の好みに適応していたが、それだけでは十分に対応できていない申告も見られた。温熱環境が変化しても 4 割以上は適応行動をとっておらず、個人の行動がより自由に行われることがオフィスにおける総合的快適性の向上に重要と考えられる。