日本病院総合診療医学会雑誌
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Print ISSN : 2185-8136
症例報告
両肺野にびまん性粒状影を認めた侵襲性インフルエンザ菌感染症の 1 例
田岡 征高市川 裕久荒川 裕佳子森 由弘
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2019 年 15 巻 6 号 p. 493-498

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抄録
症例は 60 歳女性。数か月前より口喝,網状皮斑があり入院中にシェーグレン症候群,橋本病と診断された。5 日前からの湿性咳嗽と呼吸困難で近医を受診した。低酸素血症と胸部異常陰影を認め当院紹介となった。初診時,意識障害と低酸素血症があり,呼吸音は両肺野全体に coarse crackles を聴取した。胸部X線とCT検査で両肺野にびまん性の小粒状陰影を認めた。重症肺炎を疑い血液培養,喀痰培養を行い抗菌薬投与を開始した。入院 2 日目に血液培養 2 セットよりグラム陰性桿菌が検出され,無莢膜型インフルエンザ菌(non-typable Haemophilus influenzae:NTHi)と判明した。インフルエンザ菌b型(Hi type b:Hib)のワクチンが定期接種化され,小児における侵襲性インフルエンザ菌感染症は激減した一方で,本症例のようにNTHiによる侵襲性感染症が世界的に増加している。今回我々が経験した症例は,典型的であるが稀であり画像所見と共に報告する。
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