日本病院総合診療医学会雑誌
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総説
周術期の自己血輸血 −献血資源節約により日本を救う−
冨士 武史二宮 晴夫脇本 信博
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2019 年 15 巻 6 号 p. 529-533

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抄録
外科手術は輸血によって支えられてきた。日本における同種血輸血は「献血」により支えられているが,人口構成の高齢化とともに献血を行う人口が減少し,献血血液の不足が生じると懸念されている。外科手術における輸血について,自己血輸血の採用で貴重な資源である献血血液の削減が期待される。自己血輸血には,術前貯血式,術前希釈式,術中回収式,術後回収式,などのいくつかの方法があり,手術の種類に応じて選択あるいは組み合わせて用いる。自己血輸血にもリスクが存在するため,安全性の確認が不可欠である。本稿では,これまでに報告された自己血輸血の安全性検証結果を示した。手術に関する自己血輸血が最も普及していると考えられる整形外科手術において,報告されたいくつかの論文をもとに自己血輸血の実態と有効性,安全性を検討した。 本総説によって,今後多くの外科手術において自己血輸血が普及するきっかけになっていただきたい。
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