日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
症状の訴えがない高齢者の経口摂取量低下
瀬角 裕一寺田 康
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2021 年 17 巻 6 号 p. 632-637

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抄録

高齢者が経口摂取量低下のため家族や施設職員に連れられて受診した場合,年齢や要介護度,認知機能によっては,積極的な検査をどこまでするか苦慮することがある。今回,症状の訴えがない高齢者に対して上部消化管内視鏡検査(Esophagogastroduodenoscopy;EGD)を行ったことで,経口摂取量低下の原因となりうる疾 患がみつかり,その治療により経口摂取量が改善し得た 2 例を経験した。症例 1 ,89 歳女性。2 週間前から経口摂取量が普段の 2 割程度にまで低下していた。EGD で逆流性食道炎を指摘され,プロトンポンプ阻害薬の内服を開始したことで経口摂取量が改善した。症例 2 ,83 歳女性。1 か月前から経口摂取量が低下していた。EGD でカンジダ性食道炎と診断され,抗真菌薬の内服を開始し経口摂取量は改善した。高齢者の経口摂取量低下では,症状の訴えがない場合であっても EGD を検討するべきである。

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