抄録
60 歳男性。3 年前,近医で糖尿病と診断され通院中であった。血糖コントロール不良であり,4 年間で 13 kg の体重減少と繰り返す上腹部痛のため当院を紹介された。腹部CTにて総胆管の拡張を認めたため,胆膵悪性腫瘍の存在を念頭に精査したところ,慢性膵炎と総胆管拡張を伴う膵・胆管合流異常と診断された。血糖コントロールを行ったのち,7 か月目に肝外胆道切除,胆管空腸吻合術を行った。病理検査にて悪性は指摘されなかった。術後経過は良好であった。有症状の糖尿病患者に対して,積極的に膵・胆管系の精査を行うことは極めて有用である。