日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
エスシタロプラムが奏功した持続性知覚性姿勢誘発めまいの 2 例
吉村 文孝久保﨑 順子國友 耕太郎辻 隆宏
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2022 年 18 巻 6 号 p. 417-421

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抄録
持続性知覚性姿勢誘発めまい(persistent postural perceptual dizziness ; PPPD)は Barany SocietyのStaabら1)が 2017年に概念を発表しためまい症である。PPPDの2例を経験したので報告する。症例1は78歳女性で約1年続く浮動性めまいを主訴に受診した。症例2は75歳女性で約2年続く浮動性めまいのため受診した。2例ともめまいは立位や体動に よって増悪していた。エスシタロプラム5 mgの内服を開始し2例とも1 ~ 2週間でめまいは改善した。PPPD は慢性めまいの原因として 頻度が高く,選択的セロトニン再取り込み阻害 剤,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み 阻害薬が有効である。今回の2例は,いずれも 耳鼻咽喉科を受診したが PPPD の診断には至ら なかった。PPPD は耳鼻咽喉科でも十分認知されておらず,総合診療医は慢性めまいの鑑別してPPPDを留意しておく必要がある。
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