日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
メトトレキサートで治療中に原発性子宮リンパ腫と診断された高齢関節リウマチの 1 例
甲藤 大智小林 弘青木 昭子阿部 晋衛藤森 浩司大高 純中津川 宗秀
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2022 年 18 巻 6 号 p. 428-434

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抄録

原発性子宮リンパ腫を発症した75歳の関節リウマチ(RA)患者を報告する。17年前にRA と診断,少量メトトレキサート(MTX)を処方されていた。5カ月前から少量の不正性器出血あり。貧血の進行を指摘され,約1カ月前に当院受診した。下腹部に腫瘤を触知し,CT 検査 で子宮と外腸骨リンパ節の腫大,軽度脾腫を認めた。2 週間前から発熱と全身の痛あり入院となった。小球性貧血,リンパ球と血小板減少, 血清 LDH,補正 Ca 高値,CRP と可溶性 IL-2 受 容体は高値であった。入院後,MTX を中止し たが子宮の腫大は進行した。CT 下外腸骨リンパ節生検でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。化学療法を施行,腫大した子宮と リンパ節の縮小を認めたが,肺炎を合併し第51病日死亡となった。RA患者におけるリンパ腫発症の危険因子として高齢とMTXが報告されている。原発性子宮リンパ腫は稀であるが, MTX 治療中のRA患者で子宮の腫瘤性病変が見られた場合は鑑別診断として念頭に置くことが必要であると考えた。

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