日本病院総合診療医学会雑誌
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総説
機能性ディスペプシアに対する漢方治療 -六君子湯を中心に他の方剤との使い分け
朝日 公一 田村 肇奥野 智織李 蓓来石井 孝政齋藤 登
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2023 年 19 巻 5 号 p. 361-366

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抄録

機能性消化管疾患の診療ガイドラインが2021年に改定され,機能性ディスペプシア (FD; Functional dyspepsia)の薬物療法の推奨度強・エビデンスレベル Aとして六君子湯が掲載された。六君子湯は胃の排出能異常および 貯留障害のような腹部膨満感や早期腹満感に効果があるものの,消化管知覚過敏や胃酸分泌過剰のような心窩部痛や胸やけの症状には比較的効果が乏しい。従来治療および六君子湯が試されて無効であったが,漢方専門医による処方の見直しで著効するケースがしばしばある。六君子湯以外の漢方治療は推奨度弱・エビデンスレベルはBであり,治療のフローチャートの二次治療として言及されているが,具体的な内容の記載はない。六君子湯は上腹部症状の基本処方であり構成生薬が他の薬剤と共通となる要素が多く他の方剤との違いを理解しやすい。本稿はできるだけ漢方の専門用語を排して,わかりやすくFDに対する漢方方剤の選択が可能になるようまとめた。

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