日本病院総合診療医学会雑誌
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総説
可逆性脳血管攣縮症候群の小児例 -自験例と既報との比較-
青木 康一郎阿部 祥英 長谷川 真渡邉 修一郎
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2024 年 20 巻 3 号 p. 159-163

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抄録
可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)は分節性の脳血管攣縮,雷鳴様頭痛をきたす。中年女性に好発するが,今回,思春期の男子例を経験したので既報の症例と比較して報告する。自験例は13歳の男子である。運動や入浴で増悪する激 しい頭痛と嘔吐の精査目的に当院を紹介された。身体所見や血液検査で異常は無かった。頭部 MRI 検査で脳実質に異常は無かったが,頭部 MRA 検査で両側の中大脳動脈領域と右後大脳動脈領域に脳血管の限局性狭窄変化を認め た。カルシウム拮抗薬を投与後,症状は改善し,約 5ヵ月後には脳血管の狭窄も改善した。 RCVS は小児では思春期の男子に好発し,脳梗塞を合併することもある。よって,雷鳴様頭痛をきたす思春期男子の頭痛は RCVS も鑑別に挙がる。また,本症例のように脳実質に異常が無い場合,脳血管病変を検索できる MRA 検査を施行しないと見落とす危険性があり,注意が必要である。
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