抄録
銀コーティングカテーテル (シルバーアロイカテーテル) は, カテーテル由来の尿路感染症が減少するというエビデンスが確立している. しかしながら, シルバーアロイカテーテルは通常カテーテルに比べて高価であり, 経済的側面からの検討が必要である.そこで, シルバーアロイカテーテル群と通常カテーテル群 (通常群) において, 臨床判断分析モデルによるシミュレーション研究を実施し, 経済的影響について検討を行った. 1週間以内の膀胱カテーテル留置が必要な患者を対象とし, シルバーアロイカテーテル群と通常群とで, 感染症の発生頻度ならびに必要となる医療費の期待値を計算した. 計算方法は, 臨床判断分析モデルを作成し, 患者属性, 臨床成績, 病態推移確率ならびに費用に関する種々のデータを組み合わせてシミュレーションを行った. 医療費の期待値については, 通常群では患者1人当たり6,777円に対し, シルバーアロイカテーテル群では患者1人当たりの期待費用が5,464円と, 約20%の医療費削減をもたらすものと推計された.シルバーアロイカテーテルを使用した場合のほうが, 尿路感染症の発生を予防し, 在院日数を短縮することができるとともに, 医療資源消費の節約も期待できることが示された.