抄録
日本における妊娠・出産後女性の喫煙に関する研究の動向と現状を明らかにするために文献検討を行った。対象文献は93件で,これらは3つのテーマに分類できた。(1)喫煙の影響60件,(2)喫煙状況29件,(3)禁煙支援4件であった。妊娠前の喫煙率は約20〜40%であり,妊娠中は約5〜12%に減少するが,出産後5ヵ月で約13%,1年半で約18%と出産後早期に喫煙を再開する女性が多い結果であった。禁煙への影響要因は,自己効力感,妊娠前の喫煙本数等が関連し,出産後の再喫煙には友人や夫の喫煙が関連していた。妊婦の禁煙理由は,妊娠による生理的な変化,友人や家族からの意見等があり,再開理由には発散するものが欲しい,育児ストレス等があった。禁煙支援では妊婦を対象とした支援がわずかにあるが,産後の支援の報告は更に少ない状況であった。今後は,母親のみでなく周囲の人々を含めた支援と,その実践及び評価研究が必要であるといえる。