2009 年 12 巻 3 号 p. 135-143
本研究は,東京都奥多摩町の介護保険データについて,新規で要介護認定を受けた人の初回要介護度とその後の要介護度推移について分析を行った。また,介護保険の要介護度と過去における基本健康診査の受診との関連性についても検討した。分析対象は,奥多摩町で2001年1月から2007年12月までに,新規で要介護認定の申請を行い,要支援・要介護状態にあると認定された65歳以上の人である。分析の結果,初回に要支援状態にあるものが他の要介護度と比較してその後維持できている割合が低く,変動が大きいことが明らかとなった。またどの要介護度においても,要介護度が一度悪化した場合に,元の要介護度に戻ることが容易でないことも明らかとなった。基本健康診査との関連性については,受診した人の方が新規要介護認定時の要介護度が軽い傾向にあることがわかり,基本健康診査の受診を動機づけることが有用であるという結果が得られた。