抄録
人体に浸襲のないMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて,健常男性8名(平均21歳)を対象に,矢状面での肩関節屈曲運動を解析した。測定課題は,左下の側臥位にて,矢状面での右肩関節の自動屈曲運動(0°・90°・120°・150°・最大屈曲位)とし,撮像中は,その肢位を他動的に保持した。結果,実際の肩関節最大屈曲角度は約170°であり,この角度における肩甲上腕リズム(上腕骨:肩甲骨)は約2.1:1であった。また,肩関節屈曲170°にて,上腕骨頭は最終的に36.4°の内旋を生じ,それに伴い棘上筋の長さが短縮した。しかしながら,肩甲骨の外転/内転や上方回旋の動きを加味すると,肩関節としては最終的に29.6°の外旋となった。これらの結果,肩関節可動域改善運動時に,肩甲骨と上腕骨の動きを考慮する重要性が再確認できた。