抄録
本研究の目的は,外来化学療法中のがん患者が在宅においてどのような困難を感じながら療養生活を送っているのか,その現状と患者の思いを明らかにすることである。方法は,質的記述的研究デザインである。現在外来化学療法の為に通院しているがん患者5名を対象に半構成的面接を行い,データを質的に分析した。結果として,外来化学療法中のがん患者の在宅における療養生活は,【がんと抗がん剤治療による身体の辛さ】【変化した身体による自由喪失】【家族との葛藤】【一人で病気と向き合う辛さ】【自己の尊厳が奪われる怒り】【化学療法を諦めたくない思い】の6つのカテゴリーから構成された。患者は自由を喪失した生活を送り,病院の医療職に対する葛藤や怒り,死への恐怖心を抱えながら生きることを諦めたくない思いを持ちながら在宅療養を送っていたことが明らかになった。