日本保健科学学会誌
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小中学校教師のストレスとバーンアウト,離職意思との関係
小橋 繁男
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2013 年 15 巻 4 号 p. 240-259

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抄録

本研究は,教師のストレスとバーンアウト,離職意思との関連を検討するため,小中学校教師176名を対象にストレッサー尺度とバーンアウト尺度,離職意思の有無をたずねる項目からなる質問紙調査を行い,有効回答の得られた170名を分析した。階層的重回帰分析の結果,職場環境に関する2因子(多忙感負担感)がバーンアウトと関連が強いことが明らかになった。そこで,「多忙感⊥「負担感」から「離職意思」へ至るプロセスに「バーンアウト」を介在させたモデルを用いた共分散構造分析を行った。その結果,多忙感では,最初に情緒的消耗感が高まるということが起こり,そこから脱人格化を介した経路,個人的達成感を介した経路,そして情緒的消耗感から直接,離職意思へ至る3経路が明らかになった。一方,負担感は脱人格化,個人的達成感を介した2経路で離職意思に影響を与えることが明らかになった。これらの結果から,バーンアウトを介して離職意思へ至る職場環境ストレッサーの影響力は,負担感の方が多忙感より大きいことが明らかになった。

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2013 日本保健科学学会
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