2014 年 17 巻 3 号 p. 159-164
sub-MeV領域のγ線を用いた次世代のγ線イメージング手法として,コンプトンカメラ法が知られている。この手法では,SPECT装置等で使用されている物理的コリメータを用いることなく,遠隔から飛来するガンマ線の到来方向をイベントごとに推測することが原理的に可能である。その画像再構成法においては,検出された各々のγ線イベントごとにリングを逆投影して重ねていくことでγ線到来方向の再構成を行う。そのため,再構成画像の空間分解能が原理的に低下してしまうことが問題となっている。本論文では,コンプトンカメラ法における再構成画像の空間分解能の向上を目的として,断層撮像装置の画像再構成法として知られているフィルタ補正逆投影法の原理を,コンプトンカメラの画像再構成に適用した新手法を提案する。この提案された新手法を適用したシミュレーション実験の結果,コンプトンカメラ法では困難とされてきた高解像度化を容易に達成できることが有意に示唆された。