日本における死亡率原因の第4 位,寝たきり原因の第1 位は脳卒中である。近年は食生活の欧米化や成人病が増加し,脳梗塞が問題視されている。我々は脳卒中画像診断支援法の確立を目的に,疾患検出のための画像処理やX 線CT 装置による疾患部位の描出能および適切な撮影条件を評価するためにファントムの開発を行っている。急性期の脳梗塞は低コントラスト領域のため,CT による検出は現在のところ困難とされている。そこで,本研究ではボケマスク処理を応用したマルチ周波数処理を適用し,急性期脳梗塞の周波数帯域を多く含む高周波数画像を取得して,それらを原画像に加算した。そして,特定の帯域のみのコントラストを強調し,画像中の雑音成分を抑制する新たなアルゴリズムを開発し,その有用性を検討した。また,本アルゴリズムの概要と原画像に用いるX 線CT 撮影条件の違いにおける検出能について,新たに我々が開発した脳梗塞模擬ファントムによるシミュレーション結果を交えて検討したので報告する。