抄録
介護予防事業を終了した高齢者の長期的な介護予防効果に影響を与える要因を検討した研究は少ない。本研究は,東京都A 区の介護予防事業を終了した23 名(平均年齢82 歳)を対象として,事業終了時の身体機能が終了1.5 ~ 2.0 年後の要支援・要介護認定(以下,介護等認定)の有無に与える影響について検討した。介護等認定者は8 名(34.8%)であった。目的変数を介護等認定の有無とした回帰分析では,事業終了時の5 m 通常歩行時間が強く関連しており(オッズ比2.853,95%信頼区間1.094 ─ 7.440,p = 0.032),ROC曲線より,カットオフ値は4.96 秒であった。高齢者の歩行速度は将来的なADL 能力を予測する因子であるといわれており,本研究では,介護等認定の予防では,通常歩行速度1 m/秒未満を維持することが重要であると考える。