日本保健科学学会誌
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在宅療養中の胃瘻造設患者における経口摂取再開のケースの特徴と摂食状況のレベルに関連する要因
金子 綾香河原 加代子
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2019 年 21 巻 4 号 p. 167-180

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抄録

本研究の目的は,在宅療養中の胃瘻造設患者の経口摂取再開に取り組んだケースの特徴と,摂食状況のレベルに関連する要因を明らかにすることである。対象者は,29 ヵ所の訪問看護ステーションで,在宅療養中の胃瘻造設患者のケアを提供している医療介護に携わる専門職35 名とした。方法は,訪問配布・回収式の質問紙調査であり,その際に15 分程度の簡単な面接調査で補足的なデータ収集を行なった。結果として,45 ケースのデータが得られた。経口摂取再開に取り組んでいたケースの特徴は,1)身体的な機能障害は重度であるが,食への意欲があり,認知機能障害は軽度であるケースが多かった。2)食事摂取の姿勢や方法,起床の様子,発熱の状態等の項目で摂食状況のレベルとの関連が認められた。3)経口摂取を再開するための取り組みは,家族や患者の希望がきっかけとなったケースが多かった。本研究で明らかになった摂食状況のレベルに関連する要因をもつ胃瘻造設患者においては,経口摂取再開を試みる意義が高いことが示唆された。

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2019 日本保健科学学会誌
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