本研究では,震災発生緊急時に訪問看護師が必要と考える対策の準備状況を,トラフ地域,被災地,一般地域において解析し,南海トラフ地震対策に役立てることが目的である。研究対象者は203 名の訪問看護師である。3 地域ともに「指揮命令系統や役割分担」「医療機器の対応方法」の準備率が高かった。しかし,「避難所での支援」や「避難行動支 援」に関する対策の準備率は低かった。一方,トラフ地域では「支援活動のシミュレーション」「職員の食料等の備蓄」の準備率が他の地域より高かった。これらの結果から,在宅療養者の避難行動支援計画の遅れが懸念される。計画の策定に繋げるため,訪問看護師は「定期的な外出支援」を互助活動に繋げること,地域包括ケアの取り組みや防災訓練等に積極的に参加し,住民や多職種との関係性を深める努力が必要である。