抄録
短時間正職員制度導入時の看護師のインタビューデータとこれまでの知見を用いて,現在 までの短時間正職員制度の課題を考察する.制度を利用する看護師 7 名に半構成的面接を 行い質的帰納的に分析した結果,制度利用の背景は【育児支援の不足】【仕事への愛着】【育 児を優先】【経済的なゆとり】が,短時間正職員をとりまく職場環境は【柔軟な制度】【制 度に関わらない業務負担】【上司の姿勢】【休暇の取りづらさ】【勤務を終えるための配慮】
【協力的な職場の雰囲気】,制度を利用して感じた思いは【気持ちの折り合いをつける大切 さ】【時間管理の重要性】【心身の健康を自覚する】【仕事の質を保ちたい】【同僚への自責 の念】【キャリアアップへの諦め】【看護師としての自尊心低下】のカテゴリーであった. 知見と検討したところ,制度導入から 10 年以上経過後も多くの課題が未解決であり,業 務負担軽減が喫緊の課題であることや,自尊感情低下の抑止に看護実践能力評価が重要で あると示唆された.