抄録
〔はじめに〕体幹回旋運動は腰痛のリスクファクターといわれているが,実際に腰痛の 有無による体幹回旋時の腰椎回旋可動域を調査した研究は少なく,分節毎に検討した研究 については見当たらない.そこで腰痛の有無による腰椎分節回旋可動域の違いについて MRI を用いて明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は慢性腰痛者 20 名で 対照群は健常者 15 名であった.MRI を用いて側臥位腰椎中間位,股・膝関節軽度屈曲位, 骨盤をベルトで固定した状態から体幹 45°回旋した時の腰椎水平断スライスを撮像し各分 節の回旋可動域を求めた.また全腰椎の回旋可動域の総和を全腰椎回旋角度とした.腰痛 の有無による比較を対応のない t 検定で検討した.〔結果〕腰痛者は健常者に比べ L5/S1 の腰椎回旋可動域および L1 ~ S1 の全腰椎回旋可動域が有意に大きい値を示した.〔結語〕 腰椎回旋可動域の増加,特に L5/S1 の回旋可動域の増加が腰痛と関与している可能性があ る.