抄録
病態の異なる慢性期・急性期の患者モデルへの看護判断の特徴を明らかにする目的で,療養病棟と一般病棟の看護師(有効回答91部)に対し,同一の慢性・急性2つのモデルへの看護判断を選択式質問紙(両モデル同一:計18設問,平均選択肢数6項目)により調査した。結果,所属病棟別の看護師間で有意差のあった判断項目は両モデル計240項目中10項目で,所属病棟間で有意差のない120項目中112項目について,病態モデル間で比較した。両モデル共に,「患者本人の希望」「フィジカルアセスメント」等を優先していた。慢性モデルへの判断の特徴は,[入院時][退院]の判断で「患者の現在のQOL」「家族の希望の尊重」等の項目を優先していた。急性モデルでは,[入院時][状態変化時][退院]の判断で「身体的負担を考慮」「医学的データ」等を優先していた。[緊急時][終末期療養]の判断場面では,大半の項目で両モデルに対し,同様の判断を優先していた。