日本保健科学学会誌
Online ISSN : 2433-3018
Print ISSN : 1880-0211
ISSN-L : 1880-0211
キセノンガスおよびアルゴンガスを使った比例計数管の特性
喜多村 章一増渕 卓坂本 泰伸石原 信弘
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 9 巻 3 号 p. 194-204

詳細
抄録

我々は微弱なX線やγ線(以下X/γ線と記す)の照射による非破壊検査や医療分野の透視画像作成などへの応用に向けて,その基礎研究としてキセノンガスおよびアルゴンガスを使った円筒型比例計数管の特性を測定した。本研究ではCAMAC規格の測定装置を用いて放射線計測システムを構築し,CAMACバスに接続された,ボードコンピュータ(CC/NET)上で動作するソフトウエアの開発を行った。バスコントローラーを利用せず,CC/NETを利用することで,ネットワーク通信機能を有効に活用することができるコンパクトな放射線計測システムの構築に成功した。アイソトープ(^<129>I, ^<241>Am)からの微弱なX/γ線を比例計数管に照射して,7〜59keVの計測データを解析することにより,一次電離の電荷量と出力パルス波高が比例関係にある最適な印加電圧を見出した。出力パルス波高と印加電圧の関係はガス増幅を計算するDiethornの式で記述でき,この式を使ってX/γ線のエネルギーの違いによる出力パルス波高の相対的な関係を印加電圧の関数として定性的に再現できた。またキセノンの方がアルゴンよりも10倍程度高い計数率が得られた。荷電粒子に対する応答を研究するために^<90>Srからのβ線を照射して,ランダウ分布(エネルギー損失とそのばらつきを記述する分布)の特徴を示す裾広がり分布を得た。今後はこれらの知見を基にして,照射X/γ線の二次元的位置の測定方法とその精度について研究する。

著者関連情報
2006 日本保健科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top