抄録
歯科矯正学的メカニカルストレスを負荷した歯周組織におけるOsterixの発現状況を、免疫組織化学的に検討した。実験動物として8週齢のddYマウスを使用し、歯根膜に持続的なメカニカルストレスを加えるため、Waldoの方法により上顎臼歯間にラバーダムシートを挿入した。挿入3時間後から最大24時間後まで経時的に免疫組織化学的手法を用い検索した。対照群のOsterixは、当該歯根膜組織の全周にわたって、その歯根膜線維芽細胞などに極めて弱く陽性を呈する部もあったが、ほとんど陰性だった。実験群では、9時間以降において牽引側歯根膜線維芽細胞に陽性反応が出現し、一部ではその核内における活性が確認できた。24時間では、陽性核の数が増えていた。以上の結果から、メカニカルストレスを負荷した後には、主として牽引側歯根膜にOsterixは9時間以降に発現し、同部を骨形成に大きくシフトさせることが示唆された。