日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第4回大会
セッションID: S1-4-2
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質量分析と多次元解析
血漿タンパク質からのバイオマーカ探索技術 _-_メジャータンパク質の事前選択分離、液相状態での2次元分画(2D-LC)、LC-ESI-Q-TOFによる同定_-_
*肥後 大輔鷹井 宏新井 悦郎
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抄録

臨床応用を前提とした診断マーカ等のバイオマーカ探索が注目されている。疾患等における発現タンパク質プロファイル変化の比較解析と、その後に続く質量分析法(MS)によるタンパク質同定がこの探索過程の中心となるが、これらを総合的に効率化し感度向上させるための技術も各種開発されている。 近年のトピックスとしては、抗体カラムによる血漿中メジャータンパク質の選択的分離による検出効率の向上、ゲルを用いない2次元LC(2D-LC)システムによるタンパク質のままでの分画による同定範囲の拡大、及び分画後のタンパク質状態での解析、質量分析計のバリエーションによる同定精度・感度の向上が上げられる。 本演題では、アルブミン等の血漿メジャータンパク質12種を選択的に分離するProteomeLab IgY-12 プロテオームパーティショニングキット(ベックマン・コールター社)、及び翻訳後修飾変化も踏まえてタンパク質のまま液相状態での2次元分画を行う2D-LCシステム ProteomeLab PF2D(ベックマン・コールター社)を通じて比較プロテオーム解析を行い、さらに分画後のLC-ESI-Q-TOF法によるタンパク質同定をMicro TOF Q(ブルカー・ダルトニクス社)により行った過程を紹介する。 メジャータンパク質の選択的分離の効果については、未分離の場合に比べて特にアルブミンやトランスフェリン相当のタンパク質ピークが2D-LCシステムによる分画結果において減少し、それらの部分で隠れていたピークが観察された。 食前飢餓状態と食直後のヒト血漿タンパク質についてメジャータンパク質を選択分離後、2D-LCによりこれらをそれぞれ分画した。クロマトフォーカシング法による1次元目分離pI 5.8_から_6.1相当部分の2次元目分離でピークの差異が認められた部分について、溶出されたタンパク質をトリプシン消化し、LC-ESI-Q-TOFにて同定を試みたところ、integrin-linked kinase-associated protein phosphatase 2C、golgin-245、putativeが検出された。

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© 2006 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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