日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第4回大会
セッションID: S2-3-3
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構造プロテオミクス
発生と分化の構造プロテオミクス
*田之倉  優永田 宏次竹下 大二郎宮園 健一
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抄録

 タンパク3000プロジェクト個別的解析プログラム「発生・分化とDNAの複製・修復」班では、大腸菌・好熱細菌・超好熱古細菌などの原核生物から、ヒト・マウス・ショウジョウバエなどの多細胞生物に至る多くの生物種に由来する、発生・分化及びDNAの複製・修復に関連するタンパク質の立体構造解析と機能解析を進めている。この4年間に、187個のタンパク質構造を決定し、そのうち115個をProtein Data Bank(PDB)に登録した。また、55件の特許出願をおこなった(国内36件、国際19件)。
 上記個別的解析プログラムの中核機関である我々の研究室では、現在までに、細胞の老化やガン化に関与するヒトのテロメアタンパク質、魚類の初期発生に必須である孵化酵素、甲殻類の成長を制御する脱皮抑制ホルモン、昆虫の脱皮行動や概日周期を制御する心臓作動性ペプチド等といった発生・分化関連タンパク質や、プリン塩基の生合成に関わるグアノシン1リン酸合成酵素等のDNAの複製・修復関連タンパク質、さらには転写制御因子やその他のDNA結合タンパク質等の構造解析を行ってきた。また同時に、タンパク質の機能解析として、細胞の分化に関連するWWドメイン含有タンパク質やCa2+結合タンパク質の核磁気共鳴(NMR)および表面プラズモン共鳴(SPR)によるタンパク質分子間相互作用解析を、基盤技術開発として、不溶化組換えタンパク質の試験管内巻戻し、膜タンパク質の発現、擬似微小重力下での結晶化の検討を進めてきた。
 昨年度からは新たに、タンパク質の構造解析・機能解析から創薬への展開を念頭に置き、ヒトの疾患(肥満・糖尿病・動脈硬化・心筋症等)関連タンパク質やヒトに感染して疾患を引き起こす病原体のタンパク質に焦点を絞った解析を開始した。本発表では、RNAi(RNA interference)に関与するタンパク質DicerのRNase IIIドメインの特徴的な構造と機能について新たに得られた知見を中心に紹介する。

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© 2006 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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