日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第5回大会
セッションID: P2-24
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ポスター発表
Neural Stem Sphere法により分化誘導したマウス神経系細胞のプロテオーム解析
*赤間 邦子龍野 良佑大津 昌弘堀越 朋恵中山 孝中村 愛戸田 年総井上 順雄
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抄録

神経幹細胞は増殖能を持つとともに神経細胞やグリア細胞への分化能を持っている。この性質を利用できれば、神経幹細胞の移植は進行性の神経変性病の新しい治療法として期待できる。胚性幹(ES)細胞から神経系細胞への分化誘導の分子機構を探るため、Neural Stem Sphere法によりマウスES細胞から分化させた神経系細胞のタンパク質発現プロファイルを調べた。まず、ES細胞をアストロサイト条件培養液中で浮遊培養することによりNeural Stem Sphere (NSS) と名づけた浮遊凝集体を形成させた。次にNSSをfibroblast growth factor 2存在下で接着培養して神経幹細胞へと分化させた。さらに神経幹細胞を接着培養して神経細胞へと分化させた。各段階の細胞を集め、抽出したタンパク質を二次元電気泳動にかけ、発現量が変化するタンパク質を、ペプチドマスフィンガープリンティングとウェスタンブロットにより調べた。その結果、神経幹細胞では神経系細胞の軸策形成に必要な細胞骨格タンパク質の他に、ガン抑制因子、シャペロン、情報伝達制御因子が増加し、神経細胞ではmRNAのスプライシング因子、タンパク質の翻訳開始因子、シャペロン、ガン抑制因子が減少することがわかった。さらにタンパク質の発現量とRT-PCRで得たmRNAの発現量を比較した結果、ES細胞から神経系細胞への分化において、翻訳調節、翻訳後修飾などの巧妙な制御機構があることが示唆された。

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© 2007 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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