動物の細胞や組織・器官は各々、特異の構造や機能をもっている。それらの構造と機能を分子生物学的又は生理化学的に性質を決める方法の一つとして最近、プロテオミクス解析がなされてきている。生命の基本単位は細胞であるが、その時、細胞をまるごと解析しようとしていても中々難しいが、これを染色体、膜分画、細胞質などに分画してプロテオミクス解析すれば、かなりその細胞の中身を知ることができる。また、分子をラベルする方法や分析技術の改良などによって、分子の挙動の経時的変化や分化状態も知ることができる。 一方、再生医療においては、薬では治療できない病気や損傷について、細胞移植などの方法によって病気等を治そうとするものである。しかしながら、そこには細胞の個々の性質、免疫等の拒絶反応、分化の質などを知ることが大切であり、それらを克服すべき問題が多くある。そのような時、プロテオミクスの研究がこれらの問題にどのようにアプローチが可能であり、この分野に貢献できるのか、課題と今後について述べてみたい。