日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-73
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ポスターセッション
プロテオーム解析を用いた食品の抗酸化作用の評価
*岩田 喬子小栗 エリ榊原 陽一西山 和夫水光 正仁
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抄録

【目的】我々の体は常に様々なストレスにさらされており、フリーラジカルや活性酸素種などによる酸化ストレスがガンや動脈硬化など生活習慣病や老化と深く関係していることが明らかとなっている。そして現在、抗酸化作用を持つ食品が、酸化ストレスにより起こる身体の不調や疾患を予防することで注目されている。本研究では、酸化ストレスを与えた培養細胞において、特異的に変動する酸化傷害タンパク質を探索した。そしてこれらの酸化傷害タンパク質を指標として、食品成分や食品中の抗酸化物質が酸化ストレスを与えた培養細胞に及ぼす影響を解析し、その作用や機構を解明することを目的とした。 【方法・結果】酸化ストレスとして過酸化水素を処理したヒト肝がん細胞HepG2の細胞抽出液をサンプルとした。サンプルの解析は、タンパク質中のリジン残基の側鎖アミノ基を特異的に標識する励起波長の異なる2種類の蛍光色素にてラベルし、蛍光ディファレンシャル二次元電気泳動で行った。その後、それぞれの蛍光色素に適した波長で泳動パターンを可視化し、イメージ解析ソフトによって解析することにより、酸化ストレスによって特異的に変動するスポットを検出した。検出したタンパク質スポットは、MALDI-TOF型質量分析装置を用いたペプチドマスフィンガープリント法により同定した。これら同定された酸化傷害タンパク質のうち、過酸化物質消去酵素の一つであるPeroxiredoxin1は、等電点の異なる酸性型と還元型の2つのスポットとして検出され、酸化ストレス処理時間の経過によって、これら2つのスポットが特徴的な変動をしていることが確認できた。現在、このPerpxiredoxin1を指標として、ウコンに含まれるクルクミンやブドウの皮やワインに含まれるレスベラトロールなどの食品成分や食品中の抗酸化物質が酸化ストレスを与えた培養細胞に及ぼす影響を検討している。 尚、本研究はJST宮崎県地域結集型共同研究事業により推進された。 

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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