医療福祉政策研究
Online ISSN : 2433-6858
医師の「働き方改革」
医師労働力と医療供給をめぐる複合的政策課題
松田 亮三
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 3 巻 1 号 p. 29-37

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抄録

「働き方改革」は、労働者の生活・労働の質の向上を目的としつつも、成長政策の一部としての人材政策としての意味付けがより濃くなってきている。医療部門においては、特に医師の「働き方改革」が推進されている。この改革は結果的には医師労働力供給の変更をもたらすため、それが医療供給の質・アクセスの保障に向けた取り組みと整合的となることが要請される。このため、長年労働時間規制の枠外とされ、長時間労働が常態化している医師労働の再編をいかに行うかは、複雑な要因を扱わねばならない政策上の難問となっている。本稿では、これまでの医師需給に関わ る先行研究をもとに、医師の「働き方改革」と医療供給との関わりを分析する枠組みを提示した。その枠組みには、住民の健康医療上の必要、医療労働過程の編成、必要労働、労働力供給が含まれている。医師労働力供給には、国内政策、国際移動、職業生活志向の変化を折り込み検討する必要がある。

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© 2020 日本医療福祉政策学会
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