日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
総説
好酸球性鼻副鼻腔炎(ECRS)と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の鑑別
洲崎 勲夫
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2025 年 5 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

好酸球性鼻副鼻腔炎は主として成人発症の易再発性・難治性鼻副鼻腔炎であり,成人発症の喘息やアスピリン不耐症を合併することが多く,嗅覚障害や鼻閉を呈し,患者のQOLを著しく低下させる。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は,著明な好酸球増加,重症喘息,全身性血管炎を特徴とする抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連性血管炎であり,全身諸臓器の虚血障害と好酸球性臓器障害が混在する全身性疾患である。好酸球性鼻副鼻腔炎および好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は,気道における好酸球性炎症という共通病態を有しており,好酸球性炎症の有意な鼻副鼻腔炎以外に明らかな他臓器障害の所見を認めない症例に対峙した際には,時として鑑別が困難である場合が存在する。しかし,両疾患は特に生命予後という点において大きく異なるため,特に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が疑わしい際には,耳鼻咽喉科頭頸部外科医が率先して早期診断・早期治療介入へ踏み込むことも重要となる。好酸球性鼻副鼻腔炎の診療にあたっては常に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が潜在している可能性を念頭に置いた上で併存症を含む全身評価を行って診療にあたる必要があり,そのためには好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の診断基準や典型的な発症経過について熟知しておく必要がある。本稿では,両疾患の特徴や耳鼻咽喉科頭頸部外科医が知っておくべき好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の知識を整理する。

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