抄録
都市圏の拡大に伴い開発された宅地谷埋め盛土斜面は、地震時に大きく変動する危険性がある。事実、最近では、1995年の兵庫県南部地震、2003年の三陸南地震、宮城県北部の地震及び十勝沖地震において多数の宅地谷埋め盛土斜面が変動している。こうした盛土斜面には旧谷筋や側壁に沿って浸透水が存在する。地震動が作用すると浸透水によって飽和した盛土内部で過剰間隙水圧が発生し、強震時にはしばしば液状化に近い状態になり、不安定化に大きく寄与する。しかし、盛土斜面内の間隙水圧上昇及び消散過程については未解明な点が多い。そこで今回、定量的な常時間隙水圧の把握を目的とし、原位置で地震、間隙水圧、地下水位の連続観測を実施した。