耳鼻と臨床
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原著
2002 年から 2009 年までに成人急性扁桃炎より検出された Haemophilus influenzae の薬剤耐性推移
冨山 道夫
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2010 年 56 巻 3 号 p. 126-135

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抄録
2002 年より 2009 年に成人急性扁桃炎より検出された Haemophilus influenzae の薬剤耐性推移について検討した。ampicillin (ABPC) 耐性 H.influenzae の検出頻度は 2002 - 2003 年 45%より、2006 - 2007 年 72%と有意に増加した。2006 - 2007 年の ABPC 耐性 H.influenzae に対する amoxicillin のMIC90値は > 4 μg/ml と高度耐性を示した。入院症例数は2002 - 2003 年 4 名より2006 - 2007 年 10 名と急増し、入院症例の 80%よりABPC 耐性 H.influenzae が検出された。2007 年以前は、成人急性扁桃炎に対してペニシリン系抗菌薬中心の治療を行っていたが、2008 年より重症例については、ABPC 耐性 H.influenzae に対して抗菌力を示す cefditoren pivoxil を 600 mg/day と高用量で投与することとした。その結果 2008-2009 年に入院症例はみられなくなった。
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© 2010 耳鼻と臨床会
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