耳鼻と臨床
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最新号
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原著
  • 荒井 光太郎, 中村 学, 瀬尾 徹, 肥塚 泉
    原稿種別: 原著
    2021 年 67 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:われわれは、7.05 テスラ(以下 T)MRI を用いてガドリニウム投与後におけるマウス内耳の内リンパ腔の描出について研究してきた。蝸牛においては、内リンパ腔は病理所見とほぼ同様に描出可能であったが、前庭については十分に検討できていなかった。本研究の目的は、MRI によってマウス前庭で内リンパ腔を視覚化することである。材料と方法:56 匹の C57BL/6 マウスを用い、ガドリニウム造影剤を鼓室内に注入し、1 − 2時間後に 7.05 T MRI を用いて前庭を撮像した。抽出した画像の蝸牛軸に水平かつ前庭水腫の最大径となる部位を選択し、Photoshop にて内リンパ腔と前庭腔のピクセル数を測定し、これより前庭における内リンパ腔の割合(内リンパ腔率)を算出した。結果:内リンパ腔は、すべてのマウス耳で撮像できた。平均内リンパ腔率は 0.419 ± 0.05、中央値は 0.420 であった。考案:生体マウスの前庭における内リンパ腔は、MRI によって視覚化することができた。この方法により、内リンパ水腫を呈する実験動物の内リンパ腔の形態学的変化を得ることができ、メニエール病におけるめまいの発症機序解明に役立つものと考える。

  • 村上 和子, 西平 啓太, 土橋 奈々, 柴田 修明
    原稿種別: 原著
    2021 年 67 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    2015 年 1 月から 2018 年 12 月までに当科にて OK-432(ピシバニール®)治療を行った小児のリンパ管腫 2 例・ガマ腫 3 例(舌下型 1 例、顎下舌下型 2 例)について検討した。治療効果は、消失 2 例、縮小 2 例、不変 1 例であり、消失した 2 例はいずれも嚢胞状リンパ管腫症例であった。当科の治療方針として、嚢胞状リンパ管腫に対しては、OK-432 を第 1 選択と考える。ガマ腫に対しては、低侵襲の希望があれば、OK-432 を第 1 選択とし、短期間での根治の希望が強ければ、舌下腺摘出術を選択する。OK-432 に伴う副作用としては、咽頭後壁や副咽頭間隙への進展が認められる場合は、術後呼吸困難が生じることがあるため、前もって対応を検討しておくことが必要である。

  • 奥田 匠, 井手 慎介, 梶原 啓, 川畑 隆之, 東野 哲也
    原稿種別: 原著
    2021 年 67 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    当科で 2013 年 4 月から 2019 年 12 月の 6 年 9 カ月間に喉頭全摘出術を行い、残存咽頭粘膜を一次縫合して閉創した 36 例について、咽頭皮膚瘻の発生率と危険因子について検討した。発生率は 25%(9/36 例)であった。糖尿病合併例では 50%(3/6 例)と高いが、評価においては診断名や血糖値ではなく、組織の血行障害の程度による病態でのリスクの把握に努めるべきであった。救済手術例での発生率は 31.6%(6/19 例)で、救済手術例全例への血流豊富な皮弁による予防的被覆の適用は過剰と考え、引続き早期処置で対応する方針とした。

  • 土橋 奈々, 村上 和子, 柴田 修明
    原稿種別: 原著
    2021 年 67 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    PFAPA 症候群は、周期性発熱、アフタ性口内炎、咽頭炎/扁桃炎、頸部リンパ節炎の症状を呈する症候群で自己炎症性疾患の一つである。3 − 4 歳での発症が多く、成長発達に問題を及ぼさず、自然寛解が期待できる。扁桃摘出術による寛解率は高いが、副腎皮質ステロイドや H2ブロッカーであるシメチジンによる発作抑制効果が知られている。当科で経験した 7 例中、5 例で口蓋扁桃摘出術を施行し、全例で術後に発熱発作の消失を得た。薬物治療のみを行った例では、発熱の速やかな改善や、発熱発作の消失や発熱間隔の延長など、いずれも一定の治療効果を得た。PFAPA 症候群は慢性扁桃炎として治療されることも多いと思われるが、本症候群を疑うことで治療選択肢が広がり、患者・家族の QOL(quality of life)向上に資すると考えられた。

症例報告
  • 假谷 彰文, 石原 久司, 秋定 直樹, 藤澤 郁, 藤 さやか, 赤木 成子, 竹内 彩子
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 67 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    HIV(human immunodeficiency virus)は感染すると宿主の免疫能を低下させ、進行すると AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)を引き起こす。HIV 感染症は多彩な症状を呈することが知られており、創傷治癒遅延もその一つである。今回われわれは口蓋扁桃摘出術後の創傷治癒遅延から HIV 感染症と判明した症例を経験した。HIV 感染症は早期の治療開始が予後改善のために推奨されており、早期発見が重要である。手術前 HIV スクリーニング検査は創傷治癒遅延を防ぐ意味でも重要と考えられるが、現行の保険制度上は認められない場合があり、保険適用範囲の拡大が望まれる。

  • 犬塚 杏子, 池村 巧, 門田 英輝, 内 龍太郎, 田浦 政彦, 若崎 高裕, 松尾 美央子, 安松 隆治, 中川 尚志
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 67 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    プロヴォックス®は喉頭摘出後の代用音声として用いられるが、抜去が必要となる場合がある。今回われわれはプロヴォックス®抜去後の気管食道瘻孔の閉鎖に難渋したので報告する。症例は 78 歳、男性で、プロヴォックス®を抜去した後、単純縫縮で閉鎖に至らず、大胸筋皮弁の筋体を食道と気管の間に充填することで瘻孔を閉鎖した。抜去後の瘻孔閉鎖には、気管食道間を分離する手技や皮弁を用いた手術が必要となる可能性があり、安易な抜去は避けるべきと考えられた。

  • 武田 淳雄, 小川 恭生, 近藤 貴仁, 黄川田 乃威, 相原 勇介, 千葉 裕人, 塚原 清彰
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 67 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    Bezold 膿瘍は側頸部膿瘍を呈する急性中耳炎、乳様突起炎のまれな合併症である。急性乳様突起炎は解剖学的に 6 つの方向に進展し合併症を生じる可能性がある。そのうち下内側、乳様突起方向により Bezold 膿瘍を生じる。われわれは、統合失調症の既往があり病識が乏しく、中耳炎から Bezold 膿瘍まで進展した 43 歳の男性の症例を経験したので報告する。左側頭部痛と腫脹を認めたため当科受診した。CT にて乳様突起炎と頸部膿瘍が認められたが、乳突洞削開術は行わず局所麻酔下に耳介後部を切開・排膿術を行った。術後は抗生剤の点滴投与と生理食塩水による洗浄にて改善し、術後 12 日目に退院となった。

臨床ノート
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