耳鼻と臨床
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原著
  • 河野 淳, 白井 杏湖, 西山 信宏, 冨岡 亮太, 赤井 亮, 三宅 恵太郎, 冨澤 文子, 松本 尚子, 前田 沙知
    原稿種別: 原著
    2022 年 68 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    人工内耳医療の実態を把握すべく、また今後の人工内耳候補者への説明の基礎資料を得る目的で、本邦で認可され手術可能な三機種の治療結果(音声知覚能力)について、人工内耳装用閾値、単音節、単語、文の聴取能によって、後ろ向きに検討した。コクレア製、AB 製、メドエル製それぞれの機種の平均は、人工内耳装用閾値:26.3 dB、29.6 dB、32 .2 dB、単音節:64.1%、60.0%、60.7%、単語:71.6%、69.2%、72.7%、文:79.7%、72.4%、74.9%で、いずれも有意差を認めなかった。手術年齢では人工内耳装用閾値と聴取能に、難聴期間では聴取能に、補聴器装用閾値と補聴器 67S では人工内耳装用閾値に関与していた。三機種の違いというよりは、症例個々の背景因子が、人工内耳による音声知覚能力の差異に影響を及ぼし得ることが示唆された。

  • 山野 貴史, 西 憲祐, 西平 弥子, 梅野 悠太, 吉住 潤子, 横尾 嘉宣, 松﨑 英津子
    原稿種別: 原著
    2022 年 68 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    当院では、歯性上顎洞炎に対し、術前より根尖病巣の治療等の歯科治療の介入、抜歯の必要性と時期の検討、術後の外来での残存歯のケアの方法など耳鼻咽喉科と歯科が密に連携して治療を行っている。今回、耳鼻咽喉科と歯科で同時手術を試行した 9 例を検討した。手術内容に関しては、内視鏡下鼻内副鼻腔手術を担当する耳鼻咽喉科、根尖性歯周炎などの根管治療を担当する歯科保存科、抜歯など歯科手術を担当する歯科口腔外科の 3 科で協議し、方針を決定している。術前に十分な協議の上での耳鼻咽喉科と歯科の同時手術は一度の手術で完結し、全身麻酔で抜歯等の歯科治療を同時に行うため患者負担も少ない。さらに術中の所見も共有できるため、術後の歯科治療へもスムーズに移行しやすいものと思われた。

  • 京野 真理, 瓜生 英興, 嬉野 悠太, 内 龍太郎, 中島 寅彦
    原稿種別: 原著
    2022 年 68 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    2017 年 2 月から 2020 年 3 月に当院で施行された耳下腺腫瘍手術 103 例について後方視的に検討した。年齢、性別、既往歴(糖尿病)、腫瘍の発生部位(浅葉または深葉)、腫瘍サイズ、皮膚切開法、組織型(良性または悪性)と術後合併症(顔面神経麻痺、唾液漏、Frey 症候群)の発 生率の関連について解析した。全 103 例のうち、術後合併症の発生率は顔面神経麻痺が 9.7%、唾液漏が 1.0%、Frey 症候群が 3.9%であった。特に術後顔面神経麻痺と組織型は有意に関連しており、悪性症例で合併率が高値であった。また、悪性症例の中でも組織が高悪性の症例では全例で術後顔面神経麻痺を合併していた。術前に悪性腫瘍が疑われる症例では特に、十分な術前説明と丁寧な手術操作が必要である。

症例報告
  • 島袋 拓也, 真栄田 裕行, 近藤 俊輔, 比嘉 輝之, 赤澤 幸則, 鈴木 幹男
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    胃癌に続発し両側進行性難聴で発症した髄膜癌腫症の 1 例を経験した。本症例のように神経症状を契機に原発腫瘍の診断に至った例はまれである。造影 MRI による病変の検出率は高いため、低侵襲でありながら特に有用な検査であると考えられた。さらに両側性の感音難聴が急激に進行する例、顔面神経麻痺を伴う例においては悪性腫瘍の既往の有無にかかわらず、本疾患の可能性も念頭において精査を行うべきである。

  • 矢間 敬章, 渡部 佑, 藤原 和典
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    軟骨伝導補聴器は外耳道閉鎖症例に有用だが、小耳症の合併例が多いため振動子や本体の固定が難しい。振動子固定は主に両面テープを用いるが、汗や運動による脱落が難点である。その上、振動子固定が安定しないとハウリングを誘発しやすく、装用に工夫が必要になる。今回小耳症合併外耳道閉鎖患者に対し義耳を用いてフィッティングを行ったところ、有効な補聴効果が得られた。加えて、両面テープ固定の場合と比較して汗や体動による脱落頻度が低下すること、直視的に補聴器の取り外しが可能であるため補聴器の機械的損傷の危険性も低減でき、有用であった。義耳の利用は耳介形成術がすぐにできない幼小児においても、安定装用が可能な補助装具として推奨できると考えられた。

  • 大塚 雄一郎
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    歯冠が逆方向に向かう歯牙の転位を逆生歯牙といい、時に固有鼻腔内や上顎洞に萌出する。上顎洞の逆生歯牙は副鼻腔炎の原因となり根治には逆生歯牙の摘出を必要とすることがある。症例は 45 歳男性、右慢性副鼻腔炎に対して前医で内視鏡下鼻副鼻腔手術を受けるも副鼻腔炎が改善しなかった。当院受診時の CT で右上顎洞に軟部陰影と骨破壊を認め、右上顎洞底と右上顎歯槽に逆生歯牙を認めた。内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い、同時に下鼻道から上顎洞にアプローチして上顎洞底の逆生歯牙を摘出したところ副鼻腔炎が完治した。

  • 佐藤 有記, 島津 倫太郎, 山内 盛泰, 倉富 勇一郎
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    喉頭原発の悪性リンパ腫は全喉頭悪性腫瘍の 1 %とまれな疾患であり、今回その 1 例を経験した。症例は 60 歳男性で、1 カ月前からの嚥下時痛を主訴とし、先天性心疾患による重度の心機能低下を伴っていた。また長期間の喫煙歴もあった。喉頭内視鏡で左喉頭蓋舌面から咽頭喉頭蓋ひだにかけて不整形の腫瘍を認め、喉頭扁平上皮癌に非常に類似した所見であった。頸部造影 CT や PET-CT では他のリンパ節に病変を認めなかった。喉頭内視鏡下生検を 2 度施行した結果、病理組織診断でびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫と診断され、喉頭原発悪性リンパ腫と診断した。化学放射線療法を施行し、寛解状態となった。まれな疾患ではあるが、喉頭原発悪性リンパ腫は喉頭悪性腫瘍の鑑別において常に念頭に置く必要があると考えられた。

  • 何 尚樹, 鍋倉 隆, 川畑 隆之, 奥田 匠, 東野 哲也
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    患者は 31 歳の男性。4 − 5 年前から指摘されていた右頸部腫瘤が、2 週間前から増大傾向にあるため受診した。頸部超音波検査や造影 CT、MRI より、外頸静脈から発生した venous aneurysm と診断した。また、内部には血栓を形成しているものと考えた。整容面や肺塞栓を生じる可能性を憂慮し手術を行い、実際に腫瘤内は血栓で充満していた。 venous aneurysm は頸部腫瘤を主訴とする疾患の中では比較的まれである。頭頸部においてはまだその報告例は少ないが、合併症として最も注意すべきことは、内部に発生した血栓により肺塞栓を来すことである。鑑別疾患として他の頸部腫瘍が問題となるが、本症例のように軟らかな腫瘤を見た際には、穿刺による破裂や血栓形成のリスクを考慮して、血流や頸部血管との位置関係を確認する必要がある。

  • 伊藤 恵子, 水足 佐知子, 浅井 栄敏, 羽馬 宏一
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    喉頭摘出後にプロヴォックス® を留置し、その後プロヴォックス® が不要となり、抜去した後、気管食道瘻が閉鎖するまでに長期間を要した 2 例を報告した。1 例はプロヴォックス® を抜去して 8 カ月後に瘻孔が出現し、縫合で閉鎖したが、その 5 カ月後に瘻孔が再発し再度縫合術が必要となった。もう 1 例は複数回の縫合術で閉鎖せず、経鼻経管栄養中に逆流した胃内容物を誤嚥した。皮弁を用いて瘻孔を閉鎖する手術を予定したが、手術待機中に再度逆流した胃内容物を誤嚥した。胃瘻を造設し瘻孔は閉鎖した。今後高齢化が進み、プロヴォックス® を留置しても発声ができなかったり、発声が獲得できても体調の悪化から発声しなくなるなどして、プロヴォックス® を抜去する症例が増加することが予想される。プロヴォックス® 留置前には、既往歴に留意し、抜去後に複数回の縫合術が必要になり得ること、逆流した胃内容物の誤嚥等の合併症を起こし得ることを十分に説明する必要がある。

  • 松吉 秀武, 山田 卓生, 小川 晋太郎, 後藤 英功, 川上 和伸
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 68 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2022/01/20
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル フリー

    閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して CPAP 使用と鼻閉改善手術を施行することにより無呼吸、低呼吸を制御できていたにもかかわらず、CPAP 開始から 12 年後に急激に低呼吸の上昇を来し、チェーンストーク呼吸を認めた。陳旧性心筋梗塞、慢性心不全と診断され、冠動脈手術後にも中枢性無呼吸が持続するために ASV を導入した比較的まれな睡眠呼吸障害の 1 例を経験したので報告する。症例は 77 歳、男性。昼間の眠気を主訴として受診。簡易無呼吸検査にて無呼吸低呼吸指数が 44.0 であり CPAP を開始した。約 8 年前より緩徐な脈圧上昇と急激な低呼吸の上昇を来した。またチェーンストーク呼吸を認めた。陳旧性心筋梗塞、慢性心不全により中枢性無呼吸へと移行したと考えた。冠動脈手術を施行されたが、心機能、無呼吸が回復せず、ASV を導入し無呼吸低呼吸指数は 9.9 となり、ASV 管理を行っている。CPAP 使用中の症例に対しては、無呼吸低呼吸指数を診るのみではなく低呼吸に変動がないか、チェーンストーク呼吸など生命に危険を及ぼす呼吸状態がないかを慎重に診ていく必要があると考えられた。

臨床ノート
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