耳鼻と臨床
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原著
  • 審 一範, 藤原 圭志, 佐藤 孝大, 志津木 健, 本間 明宏
    原稿種別: 原著
    2025 年71 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    video Head Impulse Test(vHIT)を用いて外側半規管形成不全の 5 例 10 耳において半規管機能評価を行った。従来は温度刺激検査で半規管機能は評価されていたが vHIT で評価されている例は少ない。また、前庭症状や眼振がない場合でも、温度刺激検査で半規管機能低下を示す症例が報告されている。vHIT では 10 耳中 9 耳で正常所見を呈したが、温度刺激検査では低下を示す症例を認めた。両者の結果の乖離の理由として、外側半規管形成不全によって管腔が形成されておらず内リンパ腔が拡大することで、vHIT のような回転検査とは対照的に、温度刺激検査では局所的な対流のみでクプラを偏位させる対流が起きず反応が出ない可能性が考えられる。

  • 和田 佳央理, 大森 史隆, 西平 弥子, 木村 翔一, 山野 貴史
    原稿種別: 原著
    2025 年71 巻1 号 p. 6-11
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    当院耳鼻咽喉科外来へ構音障害を主訴に来院した 66 例を後ろ向きに調査した。全対象者の構音障害の種類、誤り音を集計した。さらに機能性構音障害群、器質性構音障害群、機能性構音障害に発達障害を有する群、器質性構音障害に発達障害を有する群の 4 つに分け、構音障害の特徴や長期化した要因を検討した。その結果、1)訓練対象となった構音障害の種類は置換が最も多い、2)機能性構音障害群や器質性構音障害群も、発達障害を有する群も構音障害の種類や誤り音に明らかな違いはない、3)発達障害を有する群では、訓練が長期化する傾向にある、4)発達障害を有する群では、初診時年齢が機能性構音障害群や器質性構音障害群より 1 年程度高かった。以上より、10 年以上前の報告と比較しても構音の誤りの傾向に変化はないこと、発達障害を有する場合には訓練が長期化することが示唆された。就学後の構音訓練を継続できる施設の充実が望まれる。

症例報告
  • 近藤 玲未, 土橋 奈々, 西村 直矢, 次郎丸 梨那, 岡部 翠, 吉澤 誠司, 玉江 昭裕
    原稿種別: 症例報告
    2025 年71 巻1 号 p. 12-21
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    高安動脈炎は大血管での炎症を主体とした血管炎疾患であるが初発症状は多岐にわたる。頭頸部症状として難聴、めまい、耳鳴も見逃されやすい症状とされており、中耳炎を伴う例も少ないながら報告されている。難聴の臨床像はさまざまであり、診断が遅れたことで難聴が進行し、その他の症状が出現して初めて診断に至ることもある。この度、当初 ANCA 関連血管炎性中耳炎(Otitis Media with ANCA-Associated Vasculitis ; OMAAV)などの難治性中耳炎を疑うも、精査の結果、高安動脈炎の診断となり、副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤の投与により中耳炎と難聴が改善した例を経験したため報告する。難治性中耳炎症例では OMAAV 以外の血管炎の可能性もあるため、早期に診断し膠原病内科とも連携して診療することが必要と考える。

  • 畑中 章生, 大崎 政海, 原 睦子, 三ツ村 一浩, 間中 和恵, 木下 慎吾, 久場 潔実, 長野 恵太郎, 迎 亮平, 安田 大成
    原稿種別: 症例報告
    2025 年71 巻1 号 p. 22-27
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    症例は 70 歳代、女性。左鼻閉を主訴に当院を紹介受診した。初診時、左鼻腔内に易出血性の腫瘤を認めた。この鼻内腫瘍に対して生検を行ったところ、鼻腔癌(cT1N0M0)の診断を得た。初回手術においては、鼻腔腫瘍を把持したところ意図せず腫瘍が全摘出され、基部の同定はなし得なかった。外来で経過観察を行っていたところ、初回切除から 2 年後に健側の鼻中隔に基部を持つ有茎性の腫瘍が確認された。生検の結果、再発の癌と診断された。再手術では鼻中隔病変基部に十分な安全域を設けた切除を行った。術後照射は行わず、外来において経過観察を行っており、再手術から 3 年の時点で再発転移を認めていない。近年、鼻腔癌治療においては内視鏡手術の適応拡大が盛んであるが、鼻中隔癌は鼻内内視鏡下切除の特に良い適応であると考えた。

  • 木村 光宏, 桑原 風太, 亀田 央純
    原稿種別: 症例報告
    2025 年71 巻1 号 p. 28-34
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    エナメル上皮腫は良性の歯原性腫瘍であるが、比較的再発することが多い腫瘍である。再発しやすい要因として、年齢(若年発症)、腫瘍の大きさ、発生部位、病理組織型、治療方法の選択などが挙げられている。われわれは、若年発症し、再発を繰り返した上顎エナメル上皮腫を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は 48 歳、男性。14 歳時に初回手術を施行し、14 年後に再発を認め、その後は複数回の手術を行った。6 年前に再発した腫瘍が増大し頭蓋底まで進展したため手術加療を行った。腫瘍は硬膜に癒着、眼窩内に一部侵入していた。腫瘍を完全摘出し、腹直筋皮弁で上顎洞欠損部を充填した。今後も再発する可能性があり、継続経過観察中である。

  • 村上 大輔, 鈴木 智陽, 三月田 祐平, 空閑 太亮, 齋藤 雄一, 宮本 雄介, 小宗 徳孝, 樋口 良太, 吉本 幸司, 中川 尚志
    原稿種別: 症例報告
    2025 年71 巻1 号 p. 35-42
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    悪性腫瘍に対する放射線化学療法(CRT)後のサルベージ手術は、創傷治癒の遅延が予想される。特に頭蓋底再建を伴う手術において創部感染、出血、髄液漏などの合併症が高頻度に起こる。そのため創部が上皮化するまで合併症に注意し、長期間、厳格なフォローアップが必要となる。今回、前頭蓋底再建を伴う鼻副鼻腔未分化癌のサルベージ手術後に創部の感染、出血、髄液漏を認め、それに対して創部のデブリードマンと髄液漏閉鎖術を行った症例を経験した。サルベージ手術後の髄液漏閉鎖術では、過去の手術や CRT の影響で頭蓋底再建に用いる材料が限られ、症例ごとによく吟味して再建材料と再建方法を選択する必要がある。本症例では、頭蓋底の欠損部が小さく、髄液漏の流量も比較的少なかったため、free graft を用いた頭蓋底再建法を選択し、髄液漏を停止させることができた。

  • 榊 和哉, 田浦 政彦, 木村 翔一, 坂田 健太郎, 打田 義則, 末田 尚之, 坂田 俊文
    原稿種別: 症例報告
    2025 年71 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2025/01/20
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル フリー

    咽頭外傷後に縦隔気腫を生じた小児の 1 例を経験した。受診時、発熱、軽度の咽頭発赤を認める程度で咽喉頭内視鏡検査では特記所見を認めなかった。しかしその後施行した CT 検査にて、副咽頭間隙−縦隔にかけ広範な気腫を認めた。入院後保存的加療にて気腫は改善した。小児の咽頭外傷は日常的に多くみられる。初期は軽症と思われても、その後縦隔気腫、膿瘍形成が生じ、急速に呼吸状態の増悪を認め、人工呼吸器管理、手術が必要になることがある。症状にかかわらず CT 検査を行うことで治療を早期に開始し、重症化を予防できる可能性があると考えられた。

臨床ノート
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