耳鼻と臨床
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原著
耳鼻咽喉科領域感染症におけるガレノキサシン (GRNX) の感染部位への移行性と有効性に関する検討
杉田 麟也鈴木 由美子花木 秀明
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2010 年 56 巻 5 号 p. 183-198

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抄録
2008年1月 - 2009年1月に当院を受診し、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、慢性中耳炎急性増悪と診断された成人患者を対象に、ガレノキサシン (GRNX) の中鼻道分泌物 (鼻汁)、中耳分泌物 (耳漏) への移行性、細菌学的効果、臨床効果について前方視的研究を行った。対象となった患者は 127 例で、GRNX 投与後 2 - 4、6 - 8、10 - 12時間における鼻汁中濃度の平均値は、4.6、2.7、2.8 μg/ml、耳漏中濃度の平均値は 3.9、4.6、2.7 μg/mlで、いずれの測定時間における濃度も主要起炎菌の MIC90 を 10 倍以上上回っていた。GRNX 投与後における主要起炎菌の消失率は 97.7%であった。疾患別の有効率は、急性副鼻腔炎 90.8%、急性副鼻腔炎 (中耳炎合併) 86.4%、外傷に伴う急性中耳炎 100%、慢性中耳炎急性増悪 88.2%、中耳炎 (急性副鼻腔炎合併) 66.7%であった。GRNX の優れた臨床効果は本剤の体内動態、抗菌活性に起因するものであることが実証された。
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© 2010 耳鼻と臨床会
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