抄録
頭頸部領域の疾患による嚥下障害に対するリハビリテーションの実際とその効果、その特徴について、自験例と文献から考察した。リハビリテーションのポイントは残存機能を最大限に活用させ、いかに代償的嚥下法を獲得させるかにある。障害様式に応じて、さまざまな代償的嚥下法を使用できることが特徴である。脳血管障害とは異なりリハビリテーションを行う上で有利な点が多く、可能な限り早期から積極的な直接訓練を導入することが重要と考える。症例の多くは経口摂取自立可能となるが、なかには嚥下障害が遷延する症例もあり、その場合は漫然としたリハビリテーションを行わず、外科的治療を検討する必要がある。