2012 年 58 巻 4 号 p. 163-168
声帯外方移動術 (Ejnell法) は両側声帯麻痺に対して行われる声門開大術の一つであり、当科では声門開大術の第一選択としている。本来はラリンゴマイクロ下に行うため喉頭展開を必要とする術式であるが、今回、放射線治療後の症例で頸部伸展困難による喉頭直達鏡下の Ejnell法が不可能な両側声帯運動障害例を経験した。本症例に対して、経鼻的に軟性ファイバースコープ下で ENDO CLOSE™ を用いた Ejnell法が有効であった。本術式は喉頭展開不能例に対する Ejnell手術の工夫として有効な方法の一つとなり得ると思われた。