耳鼻と臨床
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原著
術前診断が困難であった頸部神経鞘腫症例
宮崎 梨那野田 哲平瀬川 祐一玉江 昭裕安松 隆治
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2013 年 59 巻 1 号 p. 25-30

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抄録
頸部神経鞘腫は比較的まれな疾患であり、診断には CT、MRI などの画像検査が有用といわれている。しかしながら時に検査を行っても診断に苦慮する場合がある。今回われわれは術前診断が困難であった頸部神経鞘腫症例 3 例を経験した。1 例目は、術前に左側頸嚢胞と診断したが、術中所見で左副神経由来の変性型神経鞘腫と判明し、被膜下に切除した。2 例目は術前に悪性リンパ腫を疑っていたが、術中所見で迷走神経由来の神経鞘腫と判明し、被膜下に切除し術後患側の声帯麻痺を認めた。3 例目は、右顎下腺腫瘍の診断の上手術を行ったが、術中所見で舌下神経由来の神経鞘腫と判明し、摘出した結果術後患側の舌下神経麻痺を認めた。神経鞘腫であることを想定せずに手術を行った場合、術後の神経脱落症状の危険性もあるため、頸部腫瘤の診断、治療では神経鞘腫も常に念頭に置き、術式の選択は quality of lifeを考慮し決定する必要があると考えられた。
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© 2013 耳鼻と臨床会
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