耳鼻と臨床
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原著
上腕骨転移を契機に発見され甲状腺濾胞癌と乳頭癌を同時に合併した 1 例
佐藤 方宣安松 隆治藤 賢史中島 寅彦小宗 静男西嶋 利光中野 貴史山元 英崇
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2014 年 60 巻 3 号 p. 99-104

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抄録
同一甲状腺に異なる組織型の癌が同時に発生する重複甲状腺癌の報告はまれである。 骨転移を契機に発見された濾胞癌と乳頭癌を同時に合併した 1 例を経験したので報告する。症例は 69 歳、男性であり、右肩痛を主訴に近医受診し、九州大学病院整形外科を紹介受診した。MRI、FDG-PET にて甲状腺を原発とした転移性骨腫瘍と診断した。甲状腺には右葉上極と下極、峡部に腫瘍を認め、穿刺細胞診にて乳頭癌が疑われた。まず、転移性骨腫瘍摘出術を施行した。術後病理は甲状腺濾胞癌の転移を示唆する所見であった。その後、耳鼻咽喉科転科となり、甲状腺癌に対して甲状腺全摘出術および両側気管傍リンパ節郭清術を施行した。術後病理結果は、右葉上極、峡部の腫瘍は共に乳頭癌、右葉下極の腫瘍は濾胞癌であった。術後経過は特に問題なく、その後放射性ヨード内用療法を行い外来経過観察中である。
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© 2014 耳鼻と臨床会
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