耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
症例報告
抜歯後に傍咽頭間隙膿瘍を発症したアテトーゼ型脳性麻痺の 1 例
新里 祐一吉田 崇正園田 世里夏花山 愛
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 62 巻 6 号 p. 212-217

詳細
抄録

深頸部膿瘍は、抗菌薬が発達した現代においても適切な外科的治療による排膿が施行されなければ、死に至る可能性がある疾患である。今回われわれは、アテトーゼ型脳性麻痺があり、抜歯を契機として傍咽頭間隙膿瘍を発症した症例を経験したので報告する。症例は 39 歳、男性。左下顎智歯抜歯後の発熱および左顎下部腫脹を主訴に来院した。内科医と連携をとりながら、術前術後の抗菌薬治療、中心静脈確保した上での造影 CT 検査、外切開による排膿、術後の生理食塩水洗浄等を施行した。アテトーゼ型脳性麻痺により不随意運動が起きやすい状態であったため、適宜ジアゼパムを使用した。術後の食事開始に際しては、言語療法士(ST)に介入を依頼し、長期臥床による廃用症候群を予防するために、理学療法士(PT)および作業療法士(OT)に介入を依頼した。入院加療の原因となった傍咽頭間隙膿瘍の治療と並行して、アテトーゼ型脳性麻痺にも多職種連携により適切な対応ができたことが、比較的短期間に軽快・退院できた要因であると考えられた。

著者関連情報
© 2016 耳鼻と臨床会
前の記事 次の記事
feedback
Top