2017 年 63 巻 2 号 p. 37-40
喉頭癌あるいは下咽頭癌に対する根治手術により音声を失った後の代用音声は食道発声、電気喉頭などが知られており、食道発声はより自然な音声が可能であるが、獲得は決して容易なものではない。そのため、より容易に食道発声を可能とする目的で、気管食道間にボイスプロテーゼとして Provox 等の器具を挿入する機会が近年増加している。本器具は、高い確率で食道発声を獲得可能であるため、quality of life(QOL)改善に非常に有効である反面、定期的な交換を必要とし、患者のコスト負担が大きいというデメリットも有している。今回われわれは交換間隔を延長させるために抗真菌薬であるミコナゾールの使用を試みたところ、Provox2®を挿入されている 8 例すべてにおいて交換期間の著明な延長を認め、抗真菌薬使用の有用性が明らかとなった。