2018 年 64 巻 2 号 p. 65-70
下咽頭喉頭食道摘出(TPLE)の頸部食道再建には主として遊離空腸(FJ)が用いられてきたが、今回、前外側大腿(ALT)皮弁による頸部食道再建を行った症例を経験した。当症例では、術後重篤な合併症を起こすことなくまた経口摂取も良好であった。過去の事例では、ALT 皮弁は FJ と比較すると皮弁が有毛である、皮膚の角質を有する、皮弁癌発生などのリスクの報告がある。しかし、術後頸部瘻孔形成といった周術期合併症は FJ と比較し大きな差はなく、さらに、ALT 皮弁の方が音声獲得としてその確率が高いとされている。過去の報告を参考に、ALT 皮弁と FJ との比較を検討し、今回経験した症例をもとに報告する。