2020 年 66 巻 1 号 p. 16-20
新生児・乳児期の呼吸障害の原因の一つである先天性鼻腔狭窄症は呼吸や栄養の面から発育に影響を及ぼす場合があるが、診断および治療方法に定まった基準はない。同例に長期の挿管チューブ鼻内留置により良好な経過をたどった症例を経験した。症例は 0 歳女児。生後 2 日目に突然の呼吸困難が出現し、当院小児科に救急搬送された。生後 9 日目に呼吸障害の原因精査目的に当科へ紹介された。経鼻軟性内視鏡で観察すると著しい両側の鼻腔狭窄を認めた。鼻腔の狭窄が呼吸状態の悪化の原因であると考えられたために左下甲介を骨折させ、小児用の外径 3.0 mm の挿管チューブの先端を鼻腔内に留置し呼吸状態が安定した。現在呼吸状態の悪化はなく経過は良好である。本症例のような先天性鼻腔狭窄症に対して長期の挿管チューブ鼻内留置は低侵襲であり有用であることが示唆された。新生児・乳幼児の呼吸不全の際は先天性鼻腔狭窄症も念頭に置き、対応する必要があると考えられた。